刑務所を出所したビリーは親に「妻を連れて帰る」と嘘をついたため、偶然出くわした少女レイラを拉致した。両親の前で妻の演技をするよう脅迫して、家に連れて帰るのが…。冷え切った空気に映える色彩。白い息と嫌悪を吐き捨て、世界に噛みあえずに焦燥する主人公。
レイラの理不尽に反発しない、シュールなキャラがこの作品・主人公に常に力ない灯りを見せている。それが最後の結末に結びついていることは確かだろう。心底で観てよかったと思えた映画。
例えるなら映画「戦場のメリークリスマス」か。世界の転機。
屈折したものがなくなり、あらゆるものが優しくなる瞬間を。
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